デジタルカメラ・ジェーピー

2009年10月7日

CEATEC JAPAN 2009

国内最大のIT・エレクトロニクス総合展
「CEATEC JAPAN 2009」レポート


●CEATEC JAPAN [会場レポート]
国内最大のIT・エレクトロニクス総合展
「CEATEC JAPAN 2009」、幕張メッセで10日まで開催

-国内最大となる最先端ITとエレクトロニクス総合イベントとなる「CEATEC JAPAN 2009」が昨日、千葉・幕張メッセで開幕した。
-エレクトロニクス系イベントのため、デジタルカメラ系の出品はごくわずかで、本イベントで発表された新製品はない。
-今年のメインは、大手家電系メーカー各社が出展した家庭向けの3D映像システム。
-会場は景気低迷のためか、例年になく空いている。
-出展規模縮小のためか、通路がやたらと広いこともあって、がらんとした感じが、その分、歩きやすい。
-目玉となる3Dシステムの体験デモも、行列は少なく、すぐに見られるケースもあり、並んでも10分程度。混み合っているのは、ソニーの3Dデモと東芝のCELL TV。
-例年混み合う、大手家電ブースが比較的空いている一方、部品系エリアは意外に混み合っており、新開発パーツなどをこまめに見て回るエンジニアの姿が多数見られた。
-初日の来場者は26,653名(出展関係者5,789名、プレス登録1,256名含む)と、昨年の初日よりも、約2,200名減。
-会場は事前登録者無料(通常は1,000円)。最終日の10日は当日登録者も無料になるので、事前登録をオススメする。




●パナソニック
「LUMIX GF1」や多機能デジタルフォトフレーム、4K2Kディスプレイを出展
-今回のCEATECでも最も力を入れてデジタルカメラをアピールしていたのがパナソニック。
-ブースの一角にLUMIX専用スペースがあり、先だって発売されたファッション・ムービー一眼「LUMIX GF1」をメインにした展示・デモを展開。
-「GF1」に関心のある女性も多く、LUMIXの説明スペースが女性ばかりになるという、CEATECでは珍しい光景もみられたほど。
-ブースには近日発売の45mmマクロや、来年発売予定レンズのモックアップも展示されていた。

-LUMIXブースには、一昨日発表されたばかりの、デジタルフォトフレームとしても利用できる、 9インチ液晶搭載マルチメディアオーディオシステム「MW-10」「MW-7」の実機を展示。
-基本はオーディオプレイヤーで、上級機の「MW-10」はiPod対応(事実上はiPhoneでも利用可能)だが、9インチの大型液晶を使ったデジタルフォトフレームとしても利用可能。
-表示品質はなかなかよく、撮影年月日も表示されるので、いつ撮った写真かすぐ分かる点にも好感が持てる。写真とカレンダー表示もできるうえ、アラームにもなるので便利。
-TV表示機能はないが、写真をスライドショー表示しながら、SDカードやiPod、CDや内蔵の4GBメモリーに保存した音楽を気軽に、高音質で楽しめる。実売は5万円前後。

-高品位なデジタルフォトフレームとしても活用できる、8.9インチα-Si TFTワイド液晶搭載ブルーレイ(BD)対応の地上波デジタル対応マルチメディアポータブルプレイヤー「BMP-BV100」をさらに進化させ、WiFi対応にし、DLNA経由でビエラリンクでDIGAの映像を楽しめる新機種を参考出品。
-バッテリ駆動も可能で、TVもフルセグのHD。BDも再生でき、高品位なデジタルフォトフレームとしても日常的に楽しめる製品だ。ただ、価格はBV100でも10万円前後のため、それを超えることは確実だろう。

-今回、参考出品として、4K2K対応の大型モニターを参考出品。
-フルHDの4倍となる、約800万画素相当の超高解像度を備えているため、至近距離で細かな映像を見てもビクともしない高画質を実現。階調性も上々だ。
-ブースでは、この映像を画面短辺の1.5倍という至近距離で鑑賞することができ、その迫力を堪能できる。
-そう遠くない将来、この4K2Kの超大型モニターで、自分で撮った作品を楽しめる時代が訪れると思うと、いまからワクワクしてしまう。CEATEC会場でぜひ体感したい。

-パナソニックをはじめとして大手家電メーカーは、高解像度の4K2Kよりも、よりわかりやすい3Dを、次世代の主力と位置づけ、積極的な展開をはじめている。
-パナソニックブースでも、3D TVのデモが行われており、3Dグラスをして多数の人が鑑賞していた。ただ、このグラスをみんながつけているのを見ると、まだ異様な感じがする。
-同社は3D映画撮影用機材もシステムとして完備している点をアピールしていた。
-また、次世代の高品位パネルとして、iPSタイプの液晶を展示。従来品よりコントラストや色再現性がよく、より高品位になるという。

-今回のCEATECの影の目玉商品は、LED照明システム。
-今後、急速に家庭に普及する可能性の高い、LEDを使った家庭用照明機器を展示。
-とくの興味深かったのは、ダイアル一つで色温度が可変できるLED照明機器。つまり、一つの照明機器で、簡単に色温度が変えられるため、用途や時間帯に応じて色や明るさを自由に調整できるわけだ。
-普段はデーライトで、くつろぎたいときは電球色といった使い分けも簡単。もちろん、これを応用すれば、これまでにない写真用照明システムも実現できそうだ。



●ソニー
単眼レンズでの3D撮影機器や各種3D鑑賞システム
「パーティーショット」や「トランスファージェット」「VAIO X」などを出展

-今回のソニーのメインは、なんといっても3D。
-ブースでは、3D映像の魅力を存分に体験できるよう、映画、ゲーム、スポーツなど、コンテンツ別の体験コーナーを設置。3Dグラスをかけての実体験が可能だ。

-今回のCEATECで必見なのが、ソニーが技術発表したばかりの、単眼レンズによる3D撮影システム
-このシステムは、肉眼での可視限界となる超高速な秒240フレームで、3D映像を撮影するもの。そのため、3Dグラスをかけていないと、ごく普通の2D映像に見える。
-レンズも、単眼レンズ。つまり、普通の光学系から入った光を、レンズマウントより後方のミラーで2つに分離して、その視差を使って3D化するもの。
-この方式を採用することで「ズーム/フォーカス操作におけるレンズの連動の際に、光軸や画像サイズ、フォーカスのずれを生じさせない」ため、自然な3D映像が撮影できるという。
-会場でのデモ映像を見る限り、従来の3D映像に見られるような不自然な立体感はなく、ごくごく自然な映像として感じられる。
-ただ、あまりに自然なため、シーンによっては、途中で3Dグラスを外して2D映像と比較しても、意外なほど差が少なく感じられた。会場内での短時間のデモでは、その実力を体感するのはやや難しいだろう。一度じっくりと体験してみたい映像だ。
-とはいえ、普通の2D撮影と全く同じ感覚で3D撮影ができるため、カメラマンにとっては、きわめて魅力的な3D撮影システムといえる。遠い将来かもしれないが、このシステムが、小型軽量化され、手の届く価格帯になったら、ぜひ使ってみたいと思わせる魅力を感じさせた。

-カメラの顔検出技術を使って、人物を自動撮影する「パーティーショット」も展示。
-とてもユニークなうえ、画像認識を元にした制御など、見所の多い製品だが、ブースでは明確な技術解説が足りず、デモも単調で人気は今一つ。
-パーティーショットはすべてテーブルの上に直接置かれているため、画面に表示されるカットがすべて下から見上げた顔になっており、やや不自然で、とくに女性に不人気。
-高めの目立つ場所においてデモをし、技術的な説明をすれば、大きく印象が変わる可能性もあり、デモの上手なソニーらしからぬ点でかなり損をしていた。

-ソニーブースでのデジタルカメラの展示は、技術展示的な要素が強く、製品展示は意外なほど少なく、力が入っていない様子。
-WX1やTX1に搭載された裏面照射CMOSの紹介もごく控えめ。
-WiFiとフルブラウザ搭載の「Cyber-shot G3」を展示していた点はCEATECらしいが、手に取る人も少なく、注目度は今一つ。積極的にアピールすれば、その魅力が伝わる製品だけに、とても残念だ。
-35mmフルサイズの巨大なCMOSセンサーもひっそりと展示されていた。

-2008年1月のCESで発表されたが、まだ離陸しない、短距離無線電送システム「トランスファージェット」。かざすだけで、データを無線で高速転送する新規格だ。
-まだ商品化されていないこともあって、知名度が低いせいか、説明コーナーの人気は意外に高い。
-ただ、説明を聞こうとすると「トランスファージェットをご存じですか?」と開口一番に聞かれるのは感心しない。
-ブースでは、Cyber-shotの同規格対応試作機を使って転送デモを展開。撮影後、カメラを黒い転送台に置くと、画面が転送用のUSB表示に変わり、即座にテレビの映像が表示される。デジタルフォトフレームへの転送も可能。
-商品化については、何社かが足並みを揃えられる状況になるタイミングで考えており、商品化については”2010年のある時期”ということだった。

-すでに事前告知が始まっている、薄型モバイルPC「VAIO X」。
-ブースでは参考出品として、実機をアクリル越しに展示。
-強烈な薄さというほどではないが、11.1型ワイド液晶を搭載し、一日中使える大容量バッテリーを搭載。USB端子も2系統あり、ディスプレイ出力やLAN端子も本体に内蔵するなど、実用面でのバランスは上々。我慢を強いられない薄型モバイルPCになりそう。

-ショーの定番となった、有機EL搭載機のモックアップも登場。
-そのポテンシャルの高さは多くの人が認識しているので、そろそろ具体的な製品がみたいところ。



●東芝
圧倒的な高画質を実現した「CELL REGZA」を出展
-今年のCEATECでもっとも話題になった「CELL REGZA」。
-会場では、世界初となる「Cell Broadband Engine」を搭載した、超高画質液晶テレビ「CELLレグザ 55X1」を大々的にアピール。
-なかでも、高輝度LEDバックライトを搭載した「メガLEDパネル」を採用した液晶パネルの再現力は圧巻。
-従来比2.5倍という最高輝度1,250cd/m2と、512分割のLEDバックライト制御によるダイナミックコントラスト500万:1を実現したパネルが描き出す映像は、従来の液晶TVの概念を変えるほど。”自然界の光の眩しさ”を感じさせる初めての液晶パネルといえる。
-また、CELLによる超解像技術もさらに進化。とくに、4K2Kパネルを使った超解像のデモでは、実質的な解像感を大幅に向上させながらも、違和感のない映像を作り出している。
-8チャンネルを過去26時間自動録画する機能も便利だが、やはりこの映像美には圧倒的な迫力を感じる。ちなみに価格は100万円前後と、こちらも超弩級だ。



近年は”家電ショー”的なイメージが強い「CEATEC」だが、規模としては、いわゆる部品系ブースが2/3を占める技術系ビジネスショーとしての意味合いが強い。今回はそんななかから、将来、デジタルカメラやデジタルフォトをより便利にしてくれそうなものを数点紹介しよう。もちろん、会場には数え切れないほどの、普段見ることのでないパーツが所狭しと並んでいるので、来場の際には想像力を働かせて丹念にブースを巡ることをお勧めする。

●スタンレイ
角度可変可能な光学素子や色温度可変LED光源システムを出展
-自動車用ライトなどでも有名なスタンレイ。今回はLED系照明を中心とした展開だ。
-そのなかで、面白い可能性がありそうなデバイスが、マイクロプリズムを電気的に制御することで、光の方向を最大18度まで可変できる光学素子。
-本来は自動車のヘッドライトの照射方向を変えるためのもの。だが、ストロボ発光部の前に装着すると、光の方向が可変できそう。
-今後の工夫次第では、光の拡散や集光もできる可能性があり、ストロボ光をズーム制御したり、カメラの小型化に貢献できる可能性もありそう。
-ヘッドライト用なので熱にも強く、透過率も約80%前後と悪くない。ただ、微少なプリズムを動かすため、画像は少し滲んだ感じになるため、撮影レンズへの応用は難しそう。

-3色の異なるLEDライトを組み合わせて制御し、色温度を自由に変える技術のデモも展開。
-基本的には屋内照明などでの利用を前提としているようだが、この考え方を高輝度LEDと組み合わせれば、理想的な写真用光源を実現できる可能性を秘めている。

●ローム
有機ELによるフラッシュライトや赤外線高速転送モジュールを出展
-ロームは有機ELライトを使ったデジタルカメラ用フラッシュを開発中。
-有機ELライトによる面光源を使ったライトで、低電圧駆動ができ、ストロボのような反射鏡やレンズが不要という。また、連続点灯すればムービー用にも使えるという。
-展示機でのデモを見る限り、光量も少なく、発光色も大きく偏っており、サイズや配光特性への配慮も足りず、”現時点での”実用性は甚だ疑問。
-ユニークではあるが、実用域に達しつつあるLEDフラッシュとの差別化も明確ではないなど多くの課題を残している。

-同じローム社ブースには、昨年のCEATECで公開された、超高速な赤外線転送規格「Giga-IR」に対応したモジュールも展示・デモされていた。
-従来比250倍という、1Gbpsの超高速な双方向での赤外線転送が可能なもので、大容量データの送受信に有効なもの。光源にはレーザーを使用。
-現在はKDDIやイーグローパレッジ社との共同開発中で、基本的には携帯電話での利用を前提としている。
-この速度まで転送レートが高速化されれば、デジタルカメラへの応用も十分検討できるレベル。携帯電話で採用されれば、対応機器も増えるうえ、コストも大幅に下がるので、カメラでの採用も検討できそうだ。

●京セラ
理論値を超える被写体深度を実現する「深度拡張光学系」を出展
-京セラは新製品として「深度拡張光学系(DEOS)」を発表。
-この光学系は、AF方式などのレンズ駆動なしに、被写界深度を理論値の3倍に広げるという技術。
-いわゆる普通のカメラ用ではなく、監視や認証、FA用途向けのもので、130万画素センサー使用時、深度範囲75〜125mmの距離で、解像度が被写体側でミリ8本を実現。
-特殊用途だが、明るさを確保しながら被写界深度を大幅に拡張できる光学系として注目される。

●アルプス電気
加工性と安全性の高いプラスチック素材の抵抗膜式タッチパネルを出展
-アルプス電気は、「キヤノン・IXY930IS」に搭載された抵抗膜式タッチパネルを出展。
-プラスチック素材のため、複雑な形状も可能で、落としても割れない点が特徴という。
-タッチパネルのデバイス自体が透明透明ではなく、着色などがあるため、液晶の表示品質が低下する傾向があるという。
-ブースでは搭載機である「IXY930IS」と並べて展示されていたが、デバイス単体を見ることで、同機の液晶表示品質への疑問は、ややクリアになった。

●NTT DoCoMo
オリンパス開発のひのき材による
「三次元圧縮成形加工」外装を採用した携帯電話を参考展示

-2006年のフォトキナで、オリンパスが技術発表した、木材外装による「三次元圧縮成型加工技術」を採用した外装材が、ようやく製品として登場する。
-残念ながら、カメラではないが、カメラ付き携帯電話用の外装としてNTT DoCoMoが採用。近い将来、シャープ製端末の外装として採用されるという。
-この技術はヒノキ材の間伐材を素材に、オリンパス開発による「三次元圧縮成型加工技術」により、工業製品の外装に耐えるレベルに仕上げるもの。
-素材にはひのき材を採用。法隆寺などの建設に使われたひのき材はきわめて長期間強度を保つことができる、抗菌効果もあり、外装材として最適。
-加工過程での熱処理により、ひのき材が本来備えている樹液が表面にしみ出し、あと加工しなくても、写真のような自然で高品位な光沢感を実現。
-もともとの木目が生かされた外装になるため、同一のものはできず、いずれも世界唯一の外装となる。
-ブースでは、ひのき材からの各加工行程の説明と、同技術を使って試作した木材外装を採用した携帯電話の実機を展示。
-実際に手に触れてみると、木材特有の得も言われぬ”ぬくもり”を感じる、高品位な仕上がりを実現している。
-この「三次元圧縮成型加工技術」のプロジェクトのリーダーは、μシリーズの生みの親である、オリンパスの鈴木達哉氏。
-きわめて難易度の高い技術であり、通常のような大量生産ができるわけではないため、同素材を採用した携帯電話も、かなり高価なものになる模様。価格帯としては、携帯電話としては、かなりプレミアムなレベルで、”中堅デジタル一眼レフレベル”になりそうだ。




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