「CAMEDIA E-10」開発者インタビュー

【第2部】


参加者
(以下、敬称略)

DI事業推進部 部長 小島佑介
DI事業推進部 開発2グループグループリーダー 朝倉康夫
DI事業推進部 開発2グループ課長代理 藤井尚樹
DI事業推進部 開発1グループ 伊東猛
DI事業推進部 開発3グループ課長代 樋口正祐
DI事業推進部 開発3グループ課長代理 鈴木隆
DI事業推進部 開発4グループ課長代理 国重恵二
光学開発部   開発1グループ課長代理  宮内祐司

聞き手
山田久美夫


●「C-2500L」発表時には見えていた、400万画素の実力

山田 このモデルは、そもそも開発が始まったのはいつ頃なんでしょう。

小島 いつだっけ。

朝倉 一番古いのは、CCDですね。最初にスタートしたのは、もう3年ぐらい前になりますか。

小島 そんなになったかね。半年くらい遅れたのかね。

朝倉 企画が始まったのは、3年くらい前だと思います。具体的にそういう順番がありまして、先に撮像系が早いですね。CCDとレンズ、これはやっぱり早めにスタート切っています。それがほとんど見えて、これならいけるという時に、じゃあどういうカメラにしようという細かいところを決めて、ボディ設計に入ります。

山田 と言うことは、2500が出た頃には、撮像系は見えていたんでしょうか。

朝倉 かなり、どれくらいになりそうだというところは分かってきておりましたね。

山田 その2500が出た時に、デジタルカメラの記事を執筆している方々が提案した意見が、相当入っているんで、ちょうどその頃にボディーの方の企画が結構やったのかなという風に予想していたんですけど。そんな感じなんでしょうか。

朝倉 おっしゃられる通りで、2500を発表して、いろいろ先生方にいろいろご意見を伺いました。その時にこのモデルは、かなり設計あるいは詳細な仕様決めをちょうどしている時で、やっぱり入れといて良かったなとか、まずいなとか、この仕様入れなければいけないなとか、結構そういうのがありました。そこで、一気に方向を微修正しまして、走っていったと。そうお考え下さい。

山田 じゃあ、あの時は、「今に見てろ!」という状態だったんですね。

朝倉 そうです、そうです。(笑い)言いたい。ここまで言いたいんだけど、まだ言っちゃいけないなとか。そういう状態でしたね。

小島 それとね、130万から250万というのは、そんなに画質的には大きく分からない。ただ400万になると、やっぱり違いが随分出たと。だから早く、E-10の方を出したかったんですね。それはもう明らかに検証していると、サンプルの絵を見てると、「400万は誰が見ても違うね」というのがやっぱり分かったんです。250万で分かるつもりだったんですけど、そこまでいかなかったといいますかね。

山田 確かに、全然違いますよね。今回のやつは。

朝倉 詳細ないろいろ仕様を立案したのは、この国重という者なんですけど。コメントありましたら、その辺。

国重 そうですね。私は、この2500Lが立ち上がっていた頃にこちらの方に、デジカメの方に参入させて頂きまして、ちょうど仕様を詰めさせていただいたんですけれども、最初2500Lまでで、もう大体画質の面でですね、ではもう銀塩に匹敵して、あと、実際これ以上何を詰め込んだらいいんだろうということを思っていました。まあ、あと銀塩に匹敵させるべきというか、一番加速して匹敵させるところというのは、操作性とかですね。その操作性というのは、レビュータイムラグもそうですし、そっちのLCDの、なんと言いますか、いきなりポンと液晶モニターで見えるようになっていますけれども、そういうところも入れて、もっと完成度を高めて行きたいなと、そういう風に考えておりました。一応、大体狙っているところの操作性は、とりあえず出来たかなという風に思っております。

●こだわりの操作性

山田 操作性は、相当変わりましたよね。(笑)

国重 全然変わりましたね。画質モードの設定のところなんかも、実はちょっとボタンを押しながら全部ダイヤリングする方式なんで、ちょっと混乱するところも今のところありますけど、使い慣れていただければ、その操作性の良さというのは、段々と分かっていただけるかなという風に思っています。

山田 印象としては1400とか、1400XLとか、2500辺りだと、良く使うものと、そうでないものとが並列に並んでいた部分が結構あったと思うんですけど。今回は、その辺がすごく整理されているので、使ってみると、「ああ、良く考えてあるな」と良く分かりますよね。

国重 有難うございます。

朝倉 とくにこの撮影系の操作部はですね、瞬時に、シャッターチャンスを逃さないように、1機能1ボタンという形で、集中して上面に置いてありまして、当然ズーム、フォーカスもレンズの前と、再生系はすべてこの後ろ側に集中させるということで、本当に撮られる方が、さっと使えるとそういうコンセプトで、この操作系を造って参りました。

山田 本当に、なんかあの2500が嘘みたいに良く出来ているんですよね。(笑い)

小島 まあ、あのカメラはやっぱりレンズの絞りやなんかの段数だとか、ということも含めて、ちょっとどうしてもレンズやなんかを新しくしなければならなかったから、あのカメラはあれで限界だったというのがちょっとありましてね。だから本格的にやるには、全部やり直さなくちゃだめということで、全部新しくしたということですね。本格的にダイキャストを使いましたからね。結局、どうも副次効果がいつもあるんですね。一番最初は「C-800L」を出した時も、ファインダーで構えるというのが、本当はこういう気持ちもあったんですけど、副次効果としてあのおかげで、電池を食わなくなったとかね。

山田 ああ,そうですね。

小島 意外と好評だったり。私は手ぶれの方が気になっていたから、やっぱりファインダーで撮って下さいよ。カメラで瞬間をそのままみんな誰でも撮れるようにしたいですよ、ということをやったんですけど。これもダイキャストを使うことによって、こんどCCDの放熱効果が良くなった。そういうようなところがあったりして、意外とみんな良い方向に回ってくれるなと、思ったんですけどね。

山田 かなり熱を持つんですか。CCDは。

国重 そう。持つことは持ちますよね。

朝倉 持ちますよね。

国重 で、特に長時間露光とかになりますと、熱によるノイズがでますので、今回はそれ専用の放熱構造になっています。CCDから金属部材を通して、外側の外装の金属に、内部の金属から外装の金属に熱を逃がして、CCDの冷却効果を高める。放熱効果を高めるという設計にしています。
 ただ、ダイキャストにしたことで、皆さんやはり、ひんやりしていて非常に良いと、質感が良いというお声を聞かせていただいております。合わせて、操作系ということで、これだけしっかり造るとしても、ズームとかフォーカスとか、こういう操作感というのも、皆さん気になるみたいで、その辺についても好評を、良く出来ているという声を頂いています。この辺の設計は、こちらのこの伊東の方から、今日はこの設計を担当していますから。

伊東 そうですね、やっぱりあの普通に使っている場所、手がどこに行きますかというので、ズームとフォーカスなどのリングの位置は決めて、使いやすく、ゴムを巻いてですね、触ったときの感触などを良くするというような形で、なるべく操作性をボディだけではなくて、ズームなり、フォーカスする時の操作性のそういうところで、考えております。またあの、先程から画質の話題が出ていますけれども、F2 という明るいレンズ、4倍ズームなんてかなり難しいレンズじゃないかという風に思っていたんですけれども、かなり宮内さんの設計が良くてですね。

宮内 苦労しましたから。(笑い)

伊東 苦労をせずにですね、とりあえず、まあ立ち上がったかなと。かなり周辺まで、かなり良い解像を出していますので、撮って頂ければ、満足して頂ける画質を十分供給していると思いますので、是非使って頂きたいと思いますね。

朝倉 伊東の方は、昔、銀塩の交換レンズの設計をしていたことがありまして、長年。そのために、この辺のズームの操作感とか、フォーカスの操作感ですね、少し粘っこさがあって、腰のある動きに非常にこだわりまして、これなら良いと、伊東の方で決めていきました。

伊東 こだわったのは、朝倉さんの方です。(笑い)かなりいろいろ言われて、これならどうだという形で、最後に一応OKをもらっているという具合ですね。

山田 すごくこう、使っていて気持ちいいですよね。

伊東 そうですか。有り難うございます。

●苦労したフォーカシングスクリーン

山田 ズームの方はすごく気に入っているんですが、マニュアルフォーカスの方の、その辺のリアリティがもうちょっとあると、嬉しかったかなというところが、正直あるんですけどね。

伊東 それは、操作に対するレンズの方の動き。

山田 そうです。

伊東 がですか。はあ。まあ、もうちょっと検討課題というところですかな。その辺は。直接、メカ的に動かしているものではないので、かなり感触的なものは感応的なものなので、メンバーで見て、これならどうだということで出しているんですけれども。

宮内 まあ特にマニュアルフォーカスの場合、20cmから無限までということなんで、そういう仕様になっております。銀塩カメラは全部メカニカルで連動さてしまうと、じゃあ20cmから無限まで行くのに、このリングを一回転させなきゃいけない。と、逆にスピード感とか、スピードというか、ぱっとその場に、リング位置を持っていくのは、すごく難しくなります。そういう点で、今回は、素早く持っていきたい時は、速度を検出して一気に持っていくと。で、微調整したい時には、少しづつ動かせば微調整できるということで、完全にメカニカルな連動のように、一対一ではないんですけれど、逆に、ユーザーの意志、これを反映した動きができるような設計というのを狙っております。

山田 それは、焦点距離によって移動量が変わっているんでしょうか。

宮内 これは変わってます。

山田 じゃあ、それの、多分僕の感触だと、中間の焦点域で、ちょっと違和感があったんで、それの切り替わりのところかもしれませんね。
 あとはファインダーなんですが、前のやつは、ほぼ素通しの(笑い)、ピントは慣れればあうけど、慣れなければ絶対に分からない、という風なものから、今回は何とかマニュアルでピントを合わせられるかな、というぎりぎりの線までは来たかなという気はするんですが。これって難しいんですよね。

朝倉 かなり難しいですね。普通の35mmの一眼レフですと、フォーカシングスクリーンの大きさが、24mm×36mmという大きさです。それを普通に見るという形なんです。けれども、これの場合ですね、2/3インチなんで、相当小さい像になっていて、スクリーンの大きさが小さくなっていて、それを拡大して見るということで、相当スクリーンの構造というのも微細な物になっていきます。実はですね、これも開発にかなりリスクを最初から感じておりまして、複数の方式をいくつか走らせて、その中のひとつで、これが一番分かり易い、見易いだろうということで、やってまいりました。特にこれは、宮内の方で、光学的な設計と共に合わせてやってまいりましたので。

宮内 実際、お使いになった感じで、なんとか合わせられるかな、という話なんですけれども。一応、山田先生はじめ、いろいろなホームページとかを拝見すると、まあ合わせられるという意見が、ご意見を頂いていますので、まずは質は良かったのかなという風には思っています。技術的には、朝倉が言いましたように、難しい面がありましてですね、そういうところはなかなか、開発期間という問題もひとつにありますから、苦労したというのは、確かに苦労しています。

山田 フォーカシングスクリーンに、結像しているのは、2/3インチのサイズのやつが、そのままフォーカシングスクリーン上に結像しているんですか。

宮内 そうです。

山田 たとえば、その手前のところに、光学系入れて、広げておいて、それで大きいスクリーンに写すということは、出来なかったんでしょうか。

宮内 アイデアとしては、あったか無かったかはちょっと覚えていないんですけれども。そうですね、今後ちょっと検討して。まあ大きさの問題というのも当然ありますから、一回そこで大きくしてしまうと、後ろもまた長さが必要とかですね、というのも出てきますから、このボディということを考えて、今の方式という感じで落ち着いたと。

朝倉 スクリーンが大きくなると、この上がどっと大きくなりますから。

山田 まあ、そうですよね。

朝倉 小さい方が、ボディとしては小さいく出来る。だから、逆にスクリーンのピッチを小さくして、実現すると。従来の一眼レフですと、まあ30ミクロンくらいのピッチの微細な凹凸の山、凹凸があります。それに対して今回のものは、10ミクロンピッチ程度のものでやっております。

山田 前に、サイバーショットプロの開発の方々に会った時に、初代のやつから二代目になって、何とかフォーカスシングスクリーン上でそのままピントが見えるようにしてるという話をして、結局その時に、これより微細な加工は出来ないので、ちょっと荒くなっちゃったけどという話が出たんです。
 で、ピントは合わせられるんだけれど、いわゆるボケですよね、ボケの部分がどんな感じになっているか、というところまでは、まだちょっときついかなという感じがあるんです。それが見えてくると、なんかこう、一眼レフ系のタイプで、大口径のレンズを使っているという感じが出てくるし、その辺で、もうちょっと頑張っていただけると嬉しいな、という風に思うんですけど。

宮内 頑張らせて頂きます。(笑い)あんまりはっきり言うと、後で責められるんですけれども。

小島 まあでも、フォーカスシングスクリーンを10ミクロンでやったというのも、ちょっと始めてじゃない?

宮内 うちの連中では始めて。

小島 いや、世の中でもないんじゃない?

宮内 そうですかね。

小島 まあ、ごく一部、業務用とかではあったかも知れませんけど。

小島 あんまり細かくすると今度、角度の問題もあるけど、それこそベストマッチングでないと”かげり”の問題も出ちゃうんですよね。

山田 そうですね。

小島 まあ、こういう風に、フィックスすればきっと出来ると思いますけど。交換レンズ方式にすると、またスクリーンを交換しなくちゃいけないという話になりますから。

●まったく考えなかった液晶ビューファインダー

山田 そうなりますよね。多分この手の部類になってくると、他社の場合は、液晶ビューファインダーを採用するという風なところにもってきているんですが、そういう話は当初無かったんでしょうか。

朝倉 はっきり言って無かったです。はい。やはり今の液晶の表示の再現、表示の力と、人間の目のレベルはまだ格段の差がありますよね。特に、暗いところ、やはり動きの滑らかさ、含めてですね、このクラスの機種は光学的なファインダーでないとだめだろうということです。

山田 僕自身も、液晶ファインダーを使って見て、嫌だなというところがかなり出てきているんで、どうしてもそのファインダーで見れて、その状態でシャッターを押すと、当然その分遅れているわけですよね。

朝倉 はい、そうですね。

山田 どうしても、そのシャッターチャンスがつかめないので、その辺は、やっぱり光学ファインダーで良い物が出来れば、その方がいいな、っていうのが結構E-10を使って、思いました。正直。ただ、実際のところ、使ってみなければ分からないという、ユーザーの悲しいところで、製品が両方出てきて、それで、両方見て初めてこっちが良いと言えるんですよね。

朝倉 今の見ている像が、液晶の場合はちょっと遅れて出てくるんで、ますますタイムラグを感じるのかも知れませんけれども。

山田 そうですね。

●AF速度とタイムラグがポイント

朝倉 特に今回は、AFのスピードアップと共に、シャッターのタイムラグですね、この辺をかなり頑張ってきました。特にその辺は、AFのシステムもありますけど、ファームウエアでかなりスピードアップを図っていくということで、ファームウエアを担当したのは、ここにいる鈴木という者ですけど、その辺のスピードを早める秘訣のような物があれば。

鈴木 私、2500を担当しておりました(笑い)。
 えーとですね、スピードのお話なんですが、タイムラグのところはですね、開発の裏話みたいになっちゃうんですけど、実際ファームウェアの開発をやっている、実際に手を動かしている人間は、かなり若い世代で、あまりフィルムのカメラを使ったことが無いんですね。タイムラグの概念で、なんで早くしなければならないかというところが、まず分からなくてですね、それを説明するのにまず最初すごく苦労したんです。
 だからそこは最初に押さえなければいけないんだよ、という話からスタートして、それを理解してもらった上で、どうゆう構造で造りましょうかと、ファームウェアの構造として、というところに随分苦労しましたね。銀塩カメラを私もやっていたんですけども、ちょっと違ってですね、デジタルカメラの場合、撮影のシーケンスとか、ユーザーの操作に対する検出とかですね、かなり同時にやらなければいけないことが、山ほどあって、それこそ撮像系のCCDの面倒も見てあげなければいけないんで、その中でどうやってタイムラグの短縮をするかというところで、かなり知恵を出して、短縮することが出来たというようなところですね。

山田 今回のAFは、二段構えですよね。

朝倉 デュアルAF。

山田 そのデュアルAFについて、ちょっとお伺いしたいんですが。基本的には、多分距離とか明るさによって、切り替えているという風に考えないほうがいいんですよね。

国重 そういう切り替えというのは、ありません。必ず、デュアルのうちの一方で距離を測ってから、レンズを高速に動かして、それからコントラストを見ると。ということを基本にしています。

山田 たとえばですけど、暗いシーンで、TTLでの測距がし難いような状況だと、外部のものを優先させるとか、いう風なことをやっているのかなと、当初予想していたんですけど。そういう訳ではないんですよね。

国重 いや、そういう訳です。(笑い)

山田 そういう訳なんですか。

朝倉 いや、いろいろ細かい味付けはしていますね。

国重 基本的に、測距によるピント合わせよりも、コントラスト、もう生、その画像そのもののピントのシャープさを検出する方が、遥かに検出性能は良いですね。ですから、それが基本です。ただ、実際にそのシャープさを検出できない場合が、当然ありますので、その時は測距に基づいて、ピント合わせをします。その際にも、実際にその性能を上げるために、測距の回数をかなり増やしているとかですね、そういう風な工夫を凝らしているということですね。

●シャッターチャンスを逃さない、眩しくないAF

朝倉 今回、AFをこういうシステムにした背景はですね、ひとつはAFのスピードを早くしたかったというのがあります。もう一つは、暗いとこで眩しくないAFにしたいなという、どんなに真っ暗でも、失敗しない写真、チャンスを逃さない写真にしたいなというのがあります。
 一つ目は、スピードを早めたいというのは、CCDの出力だけでやるAF、いわゆるコントラストAFと言っていますけど、イメージャーAFとか、これですと、シャッターボタンを半押した時に、レンズがどっちに行ったらいいか分からない、というのがありますよね。で、今まで普通の銀塩の一眼レフを使っていた方は、位相差AFですから、これはもうたちどころにぴっとそっち方向に向かう。やっぱりこうじゃなきゃいけないというので、今回は、このアクティブAFというのを入れてですね、方向を判断させる。それでその後、イメージャーを一気にそこまで全力でレンズを持っていって、後は微細なところは、このイメージャーのAFでやっていくと。
 で、暗い時にはダメなんで、その場合はもう一回アクティブを使うと。じゃあ、なぜアクティブとイメージャーを組み合わせたかというもう一つなんですけど、これアクティブとCCDのイメージャーAFというのは、長所と欠点がちょうど逆なんですね。暗いところとかに強いアクティブ、逆に暗いところは弱いけれども、あらゆる焦点領域、望遠、遠くまでも分かるイメージャー。お互いの長所をうまく生かす方式というので、こういう組み合わせをやりました。

山田 すごく合理的なんですよね。

朝倉 さらに、このアクティブをですね、従来のコンパクトに、銀塩のコンパクトに入っているようなアクティブよりももう少し精度を上げていきたい。ということで、今回ここに関しては、仕様なども担当したんですけれども、国重がですね、これかつてアクティブAFをずっとやっておりましたので、ツインセンサーアクティブAFという、こういう形で、非常に強い、強いアクティブです。何が強いかにつては、国重の方から言ってもらいましょう

●贅を尽くしたAF測距システム

国重 何が強いかというのは、ちょっと専門的すぎるので、難しいのですけれども。確か、コンパクトカメラで、アクティブAFを使っていますけれども、あれに搭載するユニットでは考えられないくらい贅沢させて頂きました。基盤も、コンパクトカメラでは絶対使えないような基盤、四層基盤で、きちっとグランドをとってですね、しかもその周りもシールドケースでガチガチに固めてですね、ほとんど、絶対にコンパクトカメラには載りません。コスト的にも。(笑い)
 で、PDSなんかも、二つ使わせて頂きまして、まあその、二つ使うというのはですね、レンズの受光面が二つあるということで、二倍の明るさの光量を取れるということです。性能を二倍上げられることですね。あと、二つの違った方向から投光した光の点を見つめることが出来ますので、要するに、コンパクトカメラだと片方からしか見ないので、たとえば投光度が陰った時ですね、間違っちゃうんですね、距離を。遠くだと、実際よりも遠くだと思ったり、近くだと思ったりするわけです。それから、両方から見るとですね、こちらは遠くだと思っても、こちらは逆に近くだと思ったりする。要するに、相補的な関係になっていまして、キャンセルしちゃいますので、そういうようなコンパクトカメラだと実現できなかったような、キャンセルしちゃうような構造というのもこの中に入れて、測距の精度を上げると同時に、測距のエラーがおきる頻度を格段に下げたと、そういう形です。

朝倉 平たく言うと、人間の目と一緒で、二つ目が入っていてそれでピントが分かっていると、そういうことですね。非常に高精度に測れると。

山田 相当贅沢させてもらっているということですよね。

国重 私、これに関しては、今までやりたくてもやれなかったことを、全部やらせて頂きました。(笑い)

山田 うーん、そうか。

小島 結局、この方式を取らないと、後ろのモニターに持ってこれないんですよ。要するに、センサーがCCD側でAFを取らないと、結果的に持ってこれませんから、スルー画が。どうも、フォーカルプレーンシャッターで区切っちゃう方式もありますけど、そうすると、もし載せようとすると、別のモニターをつけなくちゃいけない、別のCCDを付けなくちゃいけないということになりますからね。そこのところが、なんと言うんでしょう、今までのデジタルカメラのお客さんのイメージといいますかね。だから、フォーカルプレーンで区切らなかったと。それに、フォーカルプレーンはごみが入るということがあったんですけどね。その辺が、一応ビームスプリッタで分けることも、少し光が損するからという指摘は、随分最初ありましたけど。
 本当にだから悩んだんですよね。そこをやっぱり、この方式が一番ごみも入らないし、まあ結果として小さく出来る。スルー画も撮れる。他に解がありますかというとこは、逆にそういう結論でこういう方向しましたね。まあ、スルー画が本当に要るかというのはね、あれですけれども。こういう角度を付けたことによって、意味は随分出たと思います。

山田 うーん、そうでしょうね。僕自身は結構、液晶ファインダーは使う方なんで、それが無かったら怒っちゃう方なんですけど。

小島 逆に、一眼タイプではこういうのは、無いわけですから。

山田 そうですね。

朝倉 液晶を動かせるバイアングルにしたというのは、かなりプロの方、ハイアマチュアの方、特にプロの方は多いと思うんですけど、かなり低いローアングルで撮るというシーン多いと思うんですよね。物撮りもそうですし、カタログ等のものの写真ですね、それから趣味で花を撮られる方、かなり低い姿勢で撮ります。それが、この普通の光学的ファインダーだけだと、まあファインダーを交換できるものは別ですけど、非常に苦しいですよね。そういう点でやっぱり、背面の液晶を自由に動かして、ローアングルに強くしたいと。また、別の場合ではハイアングルで、これは報道用ですけど、高い位置でも撮れると。まあそういった形のものをやりたかった、と思って今回入れました。

山田 個人的には、背が小さいものですから、ハイアングルの時に見やすいものが嬉しかったというのが正直あるんですけど。ローアングルの方は、無理すれば覗けるんですよ。ファインダーを。で、ハイアングルだけはどうしょうもないんで、もうちょっと下まで向かなかったのかな、というのがすごく正直なとこです。
 あともうひとつは、このスタイルではどうしようもないんですけど、横方向に向くとすごく嬉しくって。「キヤノン・G1」が、横方向にも向くんですけど。で、これで何が嬉しいかというと、背が低い私としてはですね、高い位置から女の子が縦位置で撮れるというね(笑い)。最近の女の子、背が高いじゃないですか、しかもちょっと高めの位置から撮った方がいいんで、そうすると、なかなか脚立を持っていくわけにもいかないんです。そうすると、高めの位置から縦位置で撮れる液晶ファインダーって無いんですよ。うん。なんで、個人的にはそういう方向も、そのうち考えていただけると。

小島 もうちょっとあそこを伸ばせば良いのかね。出来無いはず無いね。もう少し斜めに出して、45°位まで出して。

朝倉 縦位置か...。

山田 そのうち考えていただけると、嬉しいなというのと、あとは逆入光がありますよね、これは。で、逆入光って、なんかアイピースシャッター以外の方法で、効率良く、気にしなく撮れる方法ってなかったんですか。

小島 これは今回の商品で、閉じてもらえば、っていうことで、割り切っちゃったんですけど。課題として残っていますね。やっぱり、じゃあ閉じ忘れたらどうするんだというのがやっぱりありますので、これはおっしゃる通り、こちらを使った時は、自動的に閉まるとか、そういう風にしなくちゃいけなかったんだろうなと。ただ、構造的にはちょっと大変なんですよね。

山田 大変ですよね。たぶん。

小島 まあ、分かっていただくユーザーということで、(笑い)とりあえず、なんとか納得していただこうかと。確かにおっしゃる通り、課題ですね。まあ、一眼である証拠ですから。

山田 そうですよね、確かに。これって一眼“レフ“といっていいんでしょうか。

朝倉 一眼“レフ”、ですね。

山田 “レフ”ですね。どうも、ビームスプリッターで分けるっていう感覚でいくと、じゃあ“レフ”はどこにあるっていうのが、正直どっかにあって、どっかにミラーが入っているんですよね。

朝倉 うーん。ハーフミラーが。

山田 ハーフミラーか・・・。(笑い) 


●コストと消費電力で決まった4コマのバッファー

山田 忘れないうちにお聞きしたいことがまだまだありまして、なかなか話しにくいことがあるかもしれませんが、まず、バッファなんですが、今連写で何枚分たまるんでしたっけ。

鈴木 4枚です。

山田 ですよね。で、普通に撮っている時はいいんですけど、昨日もカメラ誌の撮影で、撮っていたんです、女の子を。女の子を撮るときは4枚って、あっという間に無くなるんですよね。で、その辺は、なぜ4枚なんでしょう。

鈴木 (笑い)難しいですね。なぜ4枚かといわれると、なかなか答えが難しいんですけれども。まあ、積めるメモリーの数で決まっちゃているというところがありまして、それはコストですとか、消費電力の関係ですね。で、4枚で今決まってしまっているというところがあります。で、究極的には、バッファでなくても、そのまま流して記録できるというところを、目指しておりますので、まだその途上であるということで、ご理解頂きたいと。

山田 たとえば、もうちょっとコストをかけると、バッファをドンと増やせるんでしょうか。

鈴木 増やすことは出来ますけれども、今度、電力の問題が、かなり効いてきてしまいますね。パソコン並にメモリを積んでしまうことになりますので、かなり電力的にも、コスト的にも辛いものがあります。

山田 無茶苦茶な、乱暴な話ですけど、下の高価なバッテリー付きで、バッファをこれの2倍、3倍積んで、E-10P(Pro)みたいな、PでもSでもいいんですけど。

鈴木 そうですね。そこの下の部分を固定式にして頂いて、でかい電池を必ず積むぞ、という前提で、でかいバッファを積めば、出来なくはないですね。

朝倉 面白いアイデアですね。

山田 やっぱり、本当に使っていて、物がいいんで、今までだとプレス関係の人間だと、一眼のほうにずっと流れちゃったと思うんですけど。そういう方々でも、もうちょっと感度があればって言われたら、いろいろありますけど。そういった方でも使える、使う機会が結構出てくると思うんですよ。たとえば、通販物のカタログとか、そういうのを作っている方々だったら、結構被写体深度が深い分、簡単に撮れちゃうわけじゃないですか。そういう方々にも、結構いけるカメラかなという気がして。そうすると、今までの2500とは全然違ったユーザー層というのが、出てくるんじゃないかなという風に、僕は予想しているんで。で、そういう人向けの、プロフェッショナル仕様とうたった方が、売れ易いと思うんで、なんかそういうものが、あってもいいなという風に正直思うんですよ。

小島 SDでも、何メガだっけ。

朝倉 32メガバイトです。256メガビットです。

小島 32メガバイト積んで、4枚しか撮れないの?

朝倉 400万画素なんで。(笑い)

小島 結構でかいんだよな。

朝倉 でかいんです。結構積んでるんですけど。

山田 積んでますよね。

鈴木 4メガ(ピクセル)と一口に言っても、実際に中のファームを設計するとですね、恐ろしい数字なんですよもう。数が。

山田 でしょうね。

鈴木 32MBっていうと、本当にパソコンのエントリーモデムと同じメモリですから、パソコンの、ファームといいますか、電気回路のシステム自体も、ちょっとしたパソコン並のことをやっている。とイメージしていただけるといいと思います。

小島 32MB積んでいるモデルは、ないでしょう。だけど、そういう点で。

山田 32MBは、コンシューマーではあり得ませんよね。値段から言っても。
   (注:同社のC-3030などは、32MBのバッファーを搭載していますが、その場でとっさに思いつきませんでした)

小島 D1なんかは積んでいるんですか?

鈴木 そうですよね。同じような機種ですから。ちょっとサイズはいくつだか忘れましたけど。

小島 あれは270万か。その面ちょっと有利だな。

山田 まあ、「D1」とは画素数もそうですけど、価格が違いますけど、やっぱり4コマはちょっと寂しいですよね。今後に期待してます!


(2000年11月27日公開)
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 (第三部では、「E-10」の細部へのこだわりについてお届けします)


【第1部】

【第3部】


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