「EOS D30」ベータ版実写レポート


待望のデジタル一眼レフ「キヤノン・EOS D30」。

その実写データを本日、おそらく、世界で初めて、ここで公開する。


今回掲載するものは、現時点での最新バージョンのものと
初期のベータバージョンによる実写データがある。

初期モデルは以前に撮影したもので、まだチューニング中のもの。
本来は、すべて最新バージョンで撮影したかったが、
撮影スケジュールの関係で、長時間露出や屋内カットは初期バージョンだ。
そのため、参考として見ていただきたい。

注釈のないカットは最新バージョンで、チューニングがかなり進んだ状態。
現時点での実力であり、製品版により近い仕上がりと考えていいだろう。


「D30」はすでに各種イベントに出品されているため、
今回はまず、未知の領域だった画質に絞ってレポートをお届けしたい。

なお、詳しい使用感については、後日お届けする
ファーストインプレッションをご参照いただきたいが、
今回撮影した範囲では、ボディーのかなり完成度は十分に高く、
想像以上に本格的な撮影に耐えるレベルのボディーに
仕上がっているというのが、現時点での、偽らざる印象だ。


なお、今回掲載した実写データおよびレポートは、
キヤノン側との約束により、本日8月5日正午まで公開できなかったもの。

そのため、このような突然の公開となったことをご理解いただきたい。



最新バージョンによる実写



待望の「キヤノン・D30」。その最新バージョンでの実写を昨日の夕方、1時間ほどではあるが、ようやく行うことができた。

実は7月初旬にも、一度、開発途中のバージョンで実写する機会を得ていた。その実写データも一部公開するが、今回使用した最新バージョンは、そのときよりも画質が向上していた。

そのため、撮影場所や時間の制限があったので、写真としての絵柄はご容赦いただきたいが、「D30」の実力の片鱗を感じ取ることは十分にできるだろう。


私自身の素直な印象としては、「これだけ写れば、ほとんど文句なしだなあ〜」というもの。正直なところ、この価格で、このレベルの画質が実現できれば、撮像素子がCMOSであろうと、CCDであろうと、そんなことは、ある意味でどうでもいいこと。

それよりも大切なことは、この価格帯のデジタル一眼レフが、これだけの画質と、一眼レフカメラとしての完成度を身につけて登場したことに、大きな意義を感じる。


●幅広い階調と低ノイズを両立したクリーンな写り

 「D30」の最新版で撮影してみて、その画質はまさに予想以上に仕上がりだった。その絵作りは、クセのない自然なもの。標準設定の場合、階調の再現域がかなり広いこともあって、階調が結構柔らかめ。そのため、撮ったデータをそのまま使う場合には、ソフトな階調に仕上がる。

 この絵づくりは、撮影後に、多少の後処理をすることで、自分の意図にあった絵として完成させるという、「EOS D2000」系の考え方を受け継いだもの。このあたりは、撮ったままでメリハリのある絵になる「富士フイルム・FinePix S1Pro」と大きく異なる点といえる。ちょうど、カラーネガフィルムとリバーサルフィルムのような違いだと思うと、わかりやすいだろう。

 また、CMOSということで、イメージ的に懸念されていたような、ダイナミックレンジの狭さは感じられなかった。

 さらに、従来型CMOSイメージセンサーの欠点といわれていたノイズの多さに関しても、撮影画像を見る限り、問題ないレベルにまで抑えられている。もちろん、パソコンのモニター上で強拡大し、階調を極端に補正するような、現実離れしたような状況では、そのノイズを見ることができる。だが、実効感度を極端に高めず、適正露出で撮影したカットであれば、ノイズ感を気になるケースはまずないだろう。、

実際に、インクジェットプリンターでA3ノビにプリントしてみたが、実にクリーンで心地いい階調性を備えたプリントが得られた。

 輪郭強調処理は少な目に抑えられている。そのため、プリント時に多少強めのアンシャープマスクをかけると、想像以上にシャープな画像を得ることができる。このような処理を行った画像を見ると、とても30万円前後で購入できるデジタル一眼レフとは思えないほど、切れ味のいい画像が得られ、感心してしまった。


※上記のカットは、感度設定はISO100、ホワイトバランスはデーライト設定で撮影。
(以下のカットはすべてJPEG圧縮でのFineモード)

使用レンズは、EF35mmF2、EF50mmF1.4USM(左上のみ)。


「Canon EOS D30」v.s.「Nikon D1」


設定感度による解像度やノイズの違い

Canon EOS D30
Nikon D1 Non
ISO 100 200 400 800 1600



上記カットの中央部を部分拡大(200%)

Canon EOS D30
Nikon D1 Non
ISO 100 200 400 800 1600


※レンズは35mmF2。Fineモード。
プログラムAEモード・多分割測光・デーライト設定で撮影。D1は色空間変換なし。


「CMOSはノイズレベルが高く、実効感度が低くなってしまう」。これがこれまでの定説だった。

そのため、「D30」発表時から実効感度と画質の関係は、本機の実用性を大きく左右するポイントとして、注目が集まるところだった。

また、最大のライバルであり、すでに定評のある「Nikon・D1」との画質の違いは、大きな関心事といえる。

そこで今回は、最新ベータ機と同じシーンを、私の私物である「Nikon・D1」と一緒に撮り比べた。同時に撮影しているとはいえ、測光システムの関係もあり、完璧に同一条件というわけではないが、その傾向の違いは理解できるだろう。

色再現性に関しては、「D1」の色空間がNTSCのため、その点を考慮して画像を見る必要がある。ここでは撮影した画像を色空間の変換を行わずに掲載した。そのため、D1のカットは概ね、やや渋めの色調になっているわけだ。


●ISO400で常用できる「D30」

 まず、実効感度についてだが、今回の実写で見る限り、よほど画質を重視しない限り、ISO400でも十分きれいな画像が得られる点は確認できた。

 また、ISO1600に設定しても、意外にノイズが少ないため、高感度が必要なシーンでも安心して使えそうだ。

 ノイズの点で見ると、やはりISO100時がもっとも少ないようだ。後日掲載する開発者インタビューの続編でも語られているのだが、むしろ、ISO100という低感度の設定を実現する方が、技術的に難しかったという。


●解像度は「D1」を越えた

 実質的な解像度は、やはり「D30」のほうが高い。もちろん、画素数の違いがあるので、当然ともいえるが、問題は文字の輪郭の乱れ。「D30」は文字の輪郭部が自然にボケて行く感じなのに対して、「D1」は線が乱れて行く印象だ。

 もっとも、上記の拡大画像は、200%の拡大時という、きわめて特殊な条件下での違い。そのため、通常の使用条件では、この違いを明確に感じることは意外に少ないだろう。






設定感度による階調の違い

Canon EOS D30
Nikon D1 Non
ISO 100 200 400 800 1600

※レンズは35mmF2。Fineモード。
プログラムAEモード・多分割測光・デーライト設定で撮影。D1は色空間変換なし。



ダイナミックレンジと青空の色調の違い

Canon EOS D30 Nikon D1

※レンズは35mmF2。Fineモード。
マニュアル露出モード・デーライト設定で撮影。D1は色空間変換なし。



ダイナミックレンジの狭さ。これもCMOSについて、昔から言われ続けている欠点だ。

また、階調を大切にするユーザー層の要求に応えられるかどうか、これが「D30」の評価を大きく変える要因にもなりそうだ。

だが、巻頭での実写を見ても分かるように、「D30」の階調再現域は十分に広い。さすがに広大とはいえないが、今回の実写で見る限り、「D1」に比べて引けを取るようなことはなさそう。

印象としては、「D30」の場合、ハイライト、とくにハイエストライトのあたりの階調が、最後まで”ねばる”ようにチューニングされているようだ。これなら、ハイエストライトも、階調のあるデータ領域として保持されているため、後処理での補正も容易だろう。

今回の最新ベータ機での撮影時には、あまり色味のある被写体がなかったのが残念だが、巻頭のカットはもちろん、上記のカットの青空などを見ても、あまり不自然な色再現をするようなケースはないようだ。もっとも、このあたりは、もう少しいろいろなシーンを撮影してみないと判断がつかない部分でもあるが、ひとまず安心して良さそうだ。



(参考)D1で同時に撮影した巻頭カットの一部





驚異的なノイズリダクション機能

8秒 15秒 30秒

※初期バージョンでの実写。D30の「ノイズリダクション」機能を使った、長時間露出。
レンズは、EF70-200mmF2.8L USM。


「D30」には、カスタムファンクションで、長時間露出時のノイズリダクション機能を効かせることができる。

これは、長秒時に発生するノイズを、ソフト的に補正するもの。具体的には、長時間露光で撮影したあとに続けて、シャッターを開かずに、同じ露光時間での撮影(サンプリング)を自動的に行うもの。そして、実写カットとノイズ検出用のカットを比較し、画像とノイズを判別し、ソフト的に補正するわけだ。

この長秒時のノイズは、デジタルカメラの大きな欠点といえる。この発生を軽減するために、天体写真用にCCDを冷やして撮影する「冷却CCDカメラ」や上記のような補正作業をパソコン上で行うソフトウエアも実用化されているわけだ。

さて、本機でのノイズリダクション機能の効果だが、これはもう、一目瞭然。30秒の長時間露出をしても、ノイズの片鱗すら見あたらないという、ほとんど完璧なものであり、感動すら憶えるほど。

もし、デジタル一眼レフで、本格的な夜景撮影をしたいのであれば、現状では「D30」以外に選択肢はないといっても、過言ではないだろう。



今回は、ファーストインプレッションということで、画質関係を中心にレポートをお届けした。

また、近いうちに操作感やバッテリーの持ちなどについてのレポートも、何らかの形でお届けする予定だ。

ごく短時間ではあるが、今回の最新バージョンでの実写を終え、私自身は、「D30」の画質ついての不安はほぼ一掃されたという印象だ。もちろん、発売までにはさらに細かなチューニングがなされる可能性もあるが、いずれにしても、安心して使えるレベルのモデルに仕上がっていることだけは確実だろう。



TopPage